緒言
こんにちは。今回は機械工具・工作機械の大手、DMG森精機株式会社(6140)の2025年度第3四半期(1~9月)の決算短信を読み解いてみます。
設備投資環境の変化やインフラ・防衛・データセンターなどの分野での需要動向がどう業績に影響を与えているか、数字を追って見ていきましょう。
DMG森精機の基本情報

連結業績概要
全体として 売上・利益ともに前年同期比で大きく落ち込んでいる状況です。特にEBIT(≒営業利益)の落ち幅が極めて大きく、構造的な逆風が見られます。
短期的には設備投資の先送りや世界経済・設備サイクルの停滞という逆風が色濃く、今期実績・通期見通しともに厳しい数字となっている点が注意点です
| 項目 | 数値(億円) | 前年同期比 |
| 売上高 | 3431 | -11.6% |
| EBIT(≒営業利益) | 115 | -61.5% |
| EAT(純利益) (親会社株主帰属) | 42 |
製品の大型化・単価上昇戦略(MXイニシアチブ)や値引き削減策などが進んでおり、粗利改善の動きはあるものの、売上減少の影響が大きく出ています。
防衛・航空・宇宙・データセンター関連など、構造変化(DX・GX)に対する設備投資需要の回復期待が中期的に見込まれています。
セグメント別評価
全体として 投資サイクルの波を受けやすい構造であり、受注環境は回復傾向が出ていますが、「売上」は今期においてまだ回復途上。中期成長のためのテーマ・ポジショニングは明確に整えつつあります。
●マシンツール
- 売上収益:4005億円(-10.3%)
- 事業利益:59.6億円(+29.9%)
●インダストリアル・サービス
- 売上収益:1653億円(-4.5%)
- 事業利益:175.6億円(-46.3%)
財務、キャッシュフロー

営業キャッシュフローが大幅に改善し、フリーCFがプラス転換。
財務体質も維持され、投資余力を確保する堅実な構成となっています。
評価まとめ

今期は環境逆風の中で苦戦したものの、キャッシュ創出力の改善や投資テーマの整備という“土台づくり”は見えてきています。
次期以降、設備投資需要の本格回復・大型案件受注の売上移行が実現できるかが、成長再始動の鍵となるでしょう。

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