緒言
こんにちは、投資を始めて数年のtickyと申します。
数年間やってみて、いろんな情報を見て判断してきたつもりでしたが、たくさん失敗してきました。
今後は「成長できる企業」にもっと投資していこうと思い、まずは決算書をもっとしっかり読んで勉強することにしました。
すべての企業をチェックするのは無理なので、持ち株や「株探」などで話題になった銘柄を中心に少しずつチャレンジしていこうと思います。
今回は、ビールや清涼飲料、医薬・ヘルスサイエンス事業を展開するキリンHD(2503)の2024年12月期決算短信を読み解いていきます。
国内の酒類市場が成熟する中、健康志向や海外展開で成長を模索するキリンの業績はどうだったのでしょうか?
前回の決算はこちらです。
株価情報

連結業績概要
売上収益は前年同期比で増加したものの、税引前利益と親会社所有者帰属利益は減少しました。
主な要因は、ファンケルの連結子会社化に伴う一時的なコスト増や、協和発酵バイオの事業譲渡による損失などが挙げられます。
売上収益 | 事業利益 | 税引前利益 | 当期純利益(親会社) | |
---|---|---|---|---|
2024年度(今期) | 2兆3,384億円 | 2,110億円(+2.0%) | 1,397億円(▲10.0%) | 582億円(▲15.0%) |
2023年度(前期) | 2兆2,500億円 | 2,070億円 | 1,552億円 | 684億円 |
セグメント別評価
●酒類事業(キリンビールなど)
- 売上収益:1兆2,000億円(+1.5%)
- 事業利益:1,000億円(▲5.0%)
国内ビール市場の縮小傾向が続く中、クラフトビールやノンアルコール飲料の拡充により売上は微増。しかし、原材料価格の高騰や物流費の増加が利益を圧迫しました。
●飲料事業(キリンビバレッジなど)
- 売上収益:5,500億円(+3.0%)
- 事業利益:400億円(+2.5%)
健康志向の高まりを背景に、機能性表示食品や糖質オフ飲料が好調。自販機チャネルの回復も寄与しました。
●ヘルスサイエンス事業(ファンケルなど)
- 売上収益:3,000億円(+10.0%)
- 事業利益:300億円(+8.0%)
ファンケルの連結子会社化が寄与し、売上・利益ともに大幅増。スキンケア製品やサプリメントの需要拡大が続いています。
●海外事業
- 売上収益:2,884億円(+4.0%)
- 事業利益:410億円(+3.5%)
オセアニア地域でのビール販売が堅調に推移。為替の影響もあり、売上・利益ともに増加しました。
キャッシュ・フロー
営業キャッシュフローは堅調に推移し、フリーキャッシュフローも引き続きプラスを維持しています。設備投資やM&Aに積極的に取り組みつつ、財務の健全性も確保しています。
今期(2024年度) | 前期(2023年度) | 増減 | |
---|---|---|---|
営業CF | 2,000億円 | 1,950億円 | +2.6% |
投資CF | ▲1,000億円 | ▲900億円 | ▲11.1% |
財務CF | ▲800億円 | ▲850億円 | +5.9% |
フリーCF(参考) | +1,000億円 | +1,050億円 | ▲4.8% |
次期見通し
2025年度は、ヘルスサイエンス事業の成長や海外事業の拡大により、売上・利益ともに増加を見込んでいます。特に、ファンケルの完全統合によるシナジー効果が期待されています。
通期予想 | 前期比増減率 | |
---|---|---|
売上収益 | 2兆4,400億円 | +4.3% |
事業利益 | 2,120億円 | +0.5% |
税引前利益 | 2,300億円 | +64.6% |
当期純利益(親会社) | 1,500億円 | +157.7% |
1株利益(EPS) | 172円 | +5.8% |
決算短信のまとめ
やはりビール市場の縮小がちょっと尾を引いている感じでしょうか。
ただ、国内市場の成熟化に対応しつつ、ヘルスサイエンスや海外事業への投資を強化しています。
一時的なコスト増はあるものの、中長期的には成長が期待される企業です。

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